「じゃあ早速……」
「ちょっと待て」
ついにお母さんの動向を確かめにいけると張り切って立ち上がると、一条くんが待ったをかけた。
少し考え込んでる様子の一条くんを見て、仕方なくもう一度地面に座り込んだ。
「なに、どうしたの」
「一つ言っとくことがある」
そう言うと、一条くんは地面に大きな丸を指で描いた。
「アンタ……広野さんのお母さんが、5月4日の昼から夕方にかけてある場所に行ってるとする」
「…4月5日だよ」
「悪い。そこに飛んだとすると、俺達はそこの場面にしか行けない」
丸を描いた部分をトントンと指さしながら説明をされた。
いまいちよく意味がわからなくて、続きを促すように一条くんを見る。
「なんていうか、そのシーンを見に行けると思ってくれ。そのまま他の場所に移動することは出来ない。わかるか?」
「はあ、まあなんとなく」
「それから」
一条くんの左腕に腕時計がついてることを今初めて知った。袖の長いカーディガンのせいで普段は見えないのだ。
一条くんは右手で袖をまくって時間を確認した。横からちらっとのぞいてみると、針は16時30分を指していた。
「あっちにいる間も、当然こっちの時間は進んでるんだ。あんまり長居してたら夜になる」
「帰る時間は問題ないよ。今家、誰もいないから。一条くんは?」
「俺も別に家はどうでもいい。そうじゃなくて学校だ。門が閉まったら帰れなくなる」
「あ、そうか」
あはは、と軽く笑いながら、なんだか引っ掛かった。
一条くんは、家にいたくないんだろうか。まるで帰りたくないみたいな、そんな言い方だったのだ。

