君は世界を旅してる


「手も握った仲じゃん。ね」

そう言って得意げに笑ってみせた。
なんて幼稚な理屈だと自分で自分に呆れたけど、一条くんはそんな私を見て根負けしたのか、呆れたように笑った。

「わかっ、た」

そのとき、一条くんの笑った顔を初めて見た。
満面の笑みじゃなかったけど、とても綺麗だと思った。

「ところで、クラスの人達が言ってる私の噂って何なの」

「え、そこ?」

「やっぱ気になるよ~~~調子乗ってるとか思われてんのかな!」

「や、そんなんじゃないけど」

「じゃあ何」

あーとかうーとか言いながら、目線が泳いでいる一条くん。
そんなに言いにくいことなのか。

「かっ……、可愛いとか、優しいとか、そ、そんなんだよ!」

ちょっと照れたように教えてくれた一条くんは、繋いでいた手を勢いよく振り払って、恥ずかしそうに顔を半分くらい隠した。
つられてこっちも顔が熱くなってくるのがわかった。
同じようにごにょごにょ言って、恥ずかしさを隠すように空を見上げてみたり髪を触ってみたり。

聞くんじゃなかったかな。そう思い始めたとき。

「で、なんなんだよ協力してほしいことってのは!」

一条くんがぶっきらぼうにそう言った。
そうだそうだ。今日はこんな話をしに来たんじゃなかったんだった。

「あ、そうそう、あの、誰にも言わないでほしいんだけどね」

「……なんか俺ら、秘密ばっかりじゃねえ?」

確かに。
1人の秘密が、次々と2人の秘密になっていく。

カバンの中から1枚の紙を取り出して、一条くんに見えるように地面に広げて置いた。