「ごめん、考えなしだったかも。変に怪しまれて一条くんの秘密がばれたら駄目だしね。気をつける」
「そうじゃなくて」
少し困ったような顔で、一条くんは下を向いた。
なんだろう。そんなに迷惑だったのだろうか。
「……俺は、友達とかいないから」
「………」
「けど、アンタは違うだろ。よく知らないけど、クラスの奴らがよくアンタの話してる」
「え、なに」
「う、だから、俺なんかと話してるところとか一緒にいるところ見られたら、迷惑がかかるだろ」
何を言ってるんだろう。
迷惑なんて、かけられる理由が思い当たらない。
それきり黙ってしまった一条くんの、俯いてるせいで前髪に隠れた顔を見ながら考え込む。
私が一条くんと一緒にいたら、それを友達に見られたら。それって。
「ねえもしかして、一条くんといたら私が何か悪いこと言われるとか思ってる?」
「………」
無言は、肯定とみなす。
驚いた。自分の秘密がばれることへの心配じゃなくて、私の心配をしてたらしい。
「なにそれ!そんな理由で私あのとき逃げられたの!?」
「そんな理由って、」
「余計なお世話なんですけど!そんなんで悪く言う人なんか友達じゃなくていいし!」
「なっ……」
私が言い返すことは予想外だったのか、一条くんがひるんでいる。というか、ちょっと引いてるのかもしれない。
「私がどんなに一条くんと話したいなーと思ってても、みんながいる所では駄目ってこと?私が、一条くんと話したいと思ってても?」
「今同じこと2回言ったぞ」
「だったら、今から友達になればいいよね。そしたら堂々と話せる?」
「はあ?俺は友達はいらない……」
「却下!」
地面に放り出されていた一条くんの手を取って、ぎゅっと握った。
びっくりして振り払おうとする一条くんの顔をのぞき込むと、焦ったように目線をそらされてしまった。

