君は世界を旅してる


放課後になって、屋上へ向かう。

肩にかけたカバンを抱え込みながら、階段を一段ずつ登っていく。
一条くんはもう来てるだろうか。

「あれ、どうしたの?」

屋上への扉の前に、一条くんが座っていた。
鍵の開け方は知ってるはずなのに。

「雨」

「え?」

「雨降ってる」

「うそ!?」

扉を開けてみると、一条くんの言う通りパラパラと雨が降り出していた。
6時間目の授業中には降っていなかったのに。
屋上には屋根がないし、地面も濡れてるだろうから今日は使えない。

「仕方ないな、図書室にでも行くか?」

「そうだね」

部活に入ってる子が多いので、この時間の図書室は人気がないはずだ。
1番奥の机に座って勉強してるふりでもしておけば、目立たないし会話を聞かれることもないだろう。

立ち上がった一条くんと一緒に、図書室へと歩き出す。

放課後の学校で、隣に並んで歩いていると、まるで本当に付き合ってるみたいだなって思って、恥ずかしくて考えるのをやめた。

「あのさ、なんでよりによって早川に伝言頼むんだよ」

「なんでって、伝えといてあげるよって言ってくれたから」

早川くんはちゃんと一条くんに伝えてくれたらしい。
だけど一条くんは、何かが不満なようだ。

「……あいつと付き合ってるのか?」

「…え!?そんなわけないでしょ!」

顔の前でブンブンと手を振る。
とんでもない思い違いだ。一条くんには勘違いしてほしくなかった。

「だってあいつ、広野のこと好きなんだろ?それになんか仲良いし」

「そんなこと……」

一条くんには、早川くんに告白されたことを知られてる。
振ったって言うべきなのかな。
だけど、なんで俺に言うんだって思われるかもしれない。

だけど誤解されてるなら、そのままにはしておきたくなかった。