銀髪の少年は遠くを見つめていた。


外には数十人の少年たちが剣術の鍛錬をしている。


少年の目は赤毛で、翡翠色の目をした女の子だけを追っていた。


容姿こそ普通の女児と変わらないが、剣の実力はずば抜けていた。


少女の名はゾラ。


ルシス公国の第一公女である。


ラルフ帝国にある魔剣術の学校、カルドスに特待生として迎えられた。


表向きには魔剣術に秀でた者を育成する教育機関だが、実際にはラルフ帝国が王族や権力者を人質として捕らえて置く場に過ぎなかった。


少年は生まれつき肺の病気を持っていたため、鍛錬できる時間を制限されていた。


ゾラと少年が会えるのは週に一度だけ。


それでも、少年は幸せだった。