『一等賞だって』



じいちゃんのこと考えたら、また泣きたくなっちゃう。




『ん?』




『古臭い言い方。じいちゃんらしいよ』



『どんな人だったの?』



『昔はどこぞの印刷会社の社長だったらしいよ。今は面影の欠片もないけど』


なかったけど、か。



『お酒大好きで常に赤ら顔。ばあちゃんに取り上げられたりして。夏なんてね、元社長がヨレヨレのタンクトップ1枚で、しかも乳首出ちゃってるやつ』
『それで散歩とか行くんだから、恥ずかしいよね』
『お母さんと喧嘩したら、じいちゃんのとこ飛んでって、遊んでもらってたなぁ』



今はもう、行かなくなっちゃったね。



せっかくこんなに、家が近いのに。