こんな私が、恋したみたいです。



「…やった」





小さく言ったりっくんに、私も言う。





「やったね」





繋がれたその手をぎゅっと握った。






いつの間にやら花火は終わっちゃってるし、屋台も閉じ始めている。





「帰ろっか。飯、どっかで食ってく?」




それとも、いらない?と笑いながら聞かれて、私は迷わず答えた。





「食べてく。ラーメンは嫌だけど」




了解、と笑ったりっくんは、携帯を出した。





「もっちも。俺らの1番の味方だから」





電話をかける一歩手前まで来ているから、勝手に通話ボタンを押した。




「奢ってもらお」





そんなこと言って、笑って、急な坂を駆け下りた。




「あ、もっちー?」




「もっちー?」




『何?』




拗ねた声に、二人で笑う。




「やっぱ飯行こ!りっちゃん付きで!!」




「行こ!」




『…はいはい。今どこいるの?』




「秘密!駅前のファミレス集合ね!」




分かった、と布団から出る音がした。



「もっちの奢りね!」




じゃあ、と私たちは一方的に電話を切る。




「怒ったかな?」




「逆に奢らされそう」




また笑って、私たちは、もと来た道を戻った。




何度も何度も離れちゃったけど、もう二度と離れないようにその手をぎゅっと繋ぎあって。






fin.