こんな私が、恋したみたいです。










「へぇ、」





胸が、苦しい。





「そのほぼ1ヶ月後に、りっちゃんは学校でぶっ倒れて次会ったら俺のこと覚えてなかった」






深呼吸をして、不安を押しつぶそうとしても無理だった。






「…そっか」





渕月さんというあの女の子は、きっと、りっくんが好きなんだ。





だから、わたしにムカついたんだ。





「ごめんね。ほんっとに反省してるし、後悔してる」





そのまま、わたしに頭を下げた。





「ねぇ、」





りっくんのくせに、ムカつく。何であからさまに間違った方を選んだのか、責め立てたくなる。





「うん?」





「特別に、許してあげるから、ギュってして」





そんなことより、何かわからない大きな不安が押し寄せた。





目を伏せて、ちょっとだけ、手を広げる。





「うん」




りっくんの気配がしてすぐ、りっくんに抱きしめてもらえた。





大好きなその匂いが、一瞬で不安を打ち消す。





深呼吸をしたら、とっても幸せな気持ちになれた。






「クラスの子も、あんな子ばっかり?」





「ううん。いい子だよ。俺が話つけといた」






「…ありがとう」





ギュッと引き寄せられて、りっくんの胸がより近くになる。





「うん。それでも、泣きたくなったら俺のとこにおいで」




頭をポンポンって優しく撫でてくれた。







「…うん」




あれ、何でかわかんないけど、涙が出る。





「えー?何で泣いてんのー?」



わたしと離れたりっくんは、わたしを見て笑って、涙を拭う。





「へへっ」


恥ずかしくて、目を伏せた。、




「あ、りっちゃん」





2回目だけど、と言いながら、わたしの手を握る。






「俺と、付き合ってくれる?」





ニコって大好きな顔で笑ってくれた。




「うん!」





だから、私もニコッと笑う。





胸のドキドキは止まらないけど、幸せなドキドキだから、よしとしよう。