こんな私が、恋したみたいです。

「俺ね、」





花火に負けそうな、小さな声。




だから、絶対に聞き逃さないようにしないと。






「うん」






「俺ね、りっちゃんのこと、すき」






パーン、と今日1番の大きな音がした。





「え?」





聞こえなかったわけではない。聞こえた。しっかり届いた。





「聞こえなかった?」




私を見るその顔は、暑いせいなのか、花火のせいなのか、赤かった。





「…ううん」




聞こえたよ。ちゃんと。






心臓が、ドキドキとなっていて、言葉が声にならない。






「それなら、よかった」




優しい声で、優しい瞳で力強く私の手を包む。





言わなきゃ。私も、言わなきゃ。






「ねぇ、りっくん」




「ん?」




りっくんを見ても、りっくんは花火ばかり見ている。





「私もね、好きだよ」