こんな私が、恋したみたいです。

屋台の群れがなくなってきて、人もポツポツとしかいない。





「ここ!」




そんなところになって、ようやく、りっくんが立ち止まった。




「ほんと、誰もいないね」




小高くなった丘の上に、ポツンとベンチがある。




「来られたら困るって」




「そっか」





並んでベンチに座った。





「始まるよー」



時計を見て、そう言う。




りっくんの声とほぼ同時に、大きな花火が上がった。





「わー!おっきい!」




「だろ?」




りっくんがあげたわけでもないのに、ドヤ顔で私を向くから、おかしくて笑ってしまう。




「うん!」





だけど、ここはりっくんが見つけたんだもんね。





その後も、花火は惜しみなく何発も何発もあがっていく。





赤いの、青いの、ピンク色の。




ハート形もあった。





「ねぇ、りっちゃん」






「うん?」





りっくんは、花火に目を向けていた。





重なっていなかった手が、重なる。