こんな私が、恋したみたいです。

「…お祭り?」




「そー!!でっかい花火上がるんだよ」





私を見て、ニコッと笑う。





「そーなんだ」




夏でまだ外はほんのり明るいけど、屋台はぼちぼち始まり出してる。




「なんか食べたいものは?」




「ないです」




やっぱり即答かよと笑われて、握る手が強くなった。






「はぐれたら怒るからね」




「私こそ」




ぎゅっと握り返して、りっくんの隣に並んだ。




私を見てへへっと笑った。




「ちょっと遠いけど、歩ける?」




「うん。平気だよ」




「17年かけて見つけた穴場、りっちゃんに教えてあげる」





「ほんと?やったー!」




花火がよく見えるんだろう。





「楽しみ」




うん、と笑ったりっくんの横顔は心なしか赤かった。