こんな私が、恋したみたいです。

「えー、今何時ー?」




りっくんはそう言いながら、携帯の中にある時計を見た。




「5時半かー」




早いもんだ。一緒にいるだけでこんなに時間が過ぎてしまうんだ。




《うん》





「でもまだ一枚残ってんだよね」





《…何の話?》




「こっちの話!」




《飯》




「行かない!」




きっぱり断ったりっくんに、もっちはため息をつく。




《あんま遅くなんなよ》



「もっち、親?」





《違うけど》




2人が笑うから、私もおかしくなって笑った。





「じゃあなもっち!暇で死ぬなよ!」






死なねえよと冷静に突っ込んだもっちの声を最後に、電話が切れた。




「じゃ、りっちゃん」




名前を呼ばれて、ふっと顔を上げる。





「ラスト」




朝よりもずっとやつれた袋を私に向けた。





「ラストかぁ」




最後はなんだろう、他に遊ぶとこってなんだろう




やっぱり中は見ずに、りっくんに渡す。




「はーい当たりでーす」




外れないでしょ、と笑って紙が裏がえされるのを待った。




「じゃ、行くよ!」





「え?」




手を引かれて、少し乱暴に店を出た。





「ねぇ、次はどこ?」




ゆっくり歩くけど、りっくんは返事してくれない。





「ねーえー、」




繋がれた手をブンブンと振った。





「はい。見ていいよ」




さっき渡した紙が、私の手元に戻って来る。




少し緊張しながら、のんびり歩きながら、何が書いてあるのだろうと紙を開いた。





「…花火?」




「せーかい」





「花火、やるの?」



どこで?と辺りを見回しても出来そうなところは見当たらない。





「ううん。見るの」





「見る?」



「うん」




もうここがどこだかわからないと言うくらい遠くに来て、だんだんと人たがりが見えてきた。