こんな私が、恋したみたいです。

「どケチ!」



ちょっと睨みつけてそう言っても、りっくんにはビクともしない。





「うん。俺はどケチ」




なぜか納得されてしまったら、もう言い返せなかった。




「あ、もっちだ」



「んー?」





あれからもう1回だけ来てくれたけど、それだけで、結局りっくんと戯れていただけだった。





「暇なんだってー」




すぐに既読がついて、すぐに返信が来る。





「だいぶ暇そうだね」




パァ、とかピィ、とかほんとにわけのわからないことばかり言い合っている。





《りっくん?》





いつの間にやらりっくんは素早く電話をかけて、すぐにもっちが出た。




返事しろよ、とりっくんに目で訴えられる。





楽しそう、びっくりするかな?




「ん、何?」




《え?》




2人で顔を見合わせて笑い合う。




「え?何?なんか用?」




《はぁ?そっちからかけて来たんだろ?》





もっちもパニックなのかキレ気味。




「怒んなってー」





《あ、りっくんだ》





りっくんの声はすぐに気づいて、今の声なんだよ、女声得意だったの?と言う。




「違うよー私だよー」





《…りっちゃん?》





「せーかい!」




《あ、何、デート中?》




「そーそー。邪魔すんなよなー」



《だからお前らが勝手にかけて来たんだろ!》




怒るもっちに、私たちはニコニコと笑う。





「怒んなってー」



《ん、どこいんの?》





「秘密!」




そう言った声は、たまたま重なった。





《相変わらず仲良しだな》





ふへへっと笑うけど、きっと私の顔は赤いはず。





画面ばかりでりっくんの顔は見えないけど。




《でももうそろお開きだろ》




りっくん、飯行かね?ともっちが言う。