こんな私が、恋したみたいです。

「あっちー、日本死ぬんじゃね?」




「わんちゃんね」




見覚えのあるアイス屋さんが確かに道路の向こうにあった。




「こっちからこーやって来たよね」




「そうそう。よく覚えてんじゃん」




「すごいでしょ」




りっくんを見てへへっと笑っていたら、手を引かれて、信号を渡る。





「りっちゃんは抹茶?」





「りっくんは?」




「さぁ、俺は何を食べたでしょう」





「えー、わかんない」




「残念でしたー」




えー、と文句を垂れながら、一気に涼しくなる店に入った。






「懐かしいかも」




「あの時は今日よりも混んでたな」




「そーだっけ?」




全然覚えてないけど、そう言うんだからそうなんだろう。




「うん」





そっかぁ、と周りを見渡していたら、いつのまにかりっくんは注文を済ませていた。




だから、私もそうする。




抹茶アイスを貰った頃には、りっくんがいなくなってた。




せっかちだなぁと面白がりながらりっくんを探す。




「ここだよ」




「あ、いた」





「おんなじ席。空いてたから」




へへっと笑いながら、りっくんはポケットを気にしている。





しわくちゃビニール袋が入っているはずのポケット。





「おんなじ席!」




椅子に座ると、見覚えのある景色が、広がった。





「だろ」





「…チョコ?」




りっくんのアイスを覗いたら、チョコのような色だった。




「ん、どうでしょう」




そう言って、一口食べる。




「焦らすやん」




そう言ったら、じゃあ答え合わせと言ってくれる。




「はい」





「…え?」




ニヒルに笑うりっくんは、スプーンを私に向けている。




「夢の中のりっちゃんはしてたけど?」




意地悪な顔。




「…え」





それは、私も見た。





だけど、それとこれと話は別なわけで。




「じゃ、真相は闇の中ってことで」




そう言って、その一口を食べてしまった。