こんな私が、恋したみたいです。

「二階のゲーセンと三階のゲーセンあるけど」




どっちにする?と聞くために私を見る。




「どっちでも」




その手は私と繋ごうとしないから、きっとりっくん的には気まぐれなのだろう。




いちいちドキドキしてんのに、悔しいな。





「じゃあどっちも!」





まずは二階〜とルンルンで少し前を歩く。





「あ!ね!りっちゃん!!これ!」





入ったと同時に子供みたいにはしゃいで、クレーンの中を覗いている。





「あ、」





さっきの、りっくんイチオシのカバ。




大きいバージョン。





「すっげー」




キラキラした目でそれに食いついている。





「何がそんなに可愛いの?」





「人生諦めましたみたいな顔が」




「へぇー」




疲れ切った顔してるね。




「人生じゃないか!トド生?」





「カバ生」




あーそっちかぁ!と笑って、また歩き始める。





「ねーりっくん」




りっくんは気づかずに進んだけど、私はある機械の前で止まる。




「ん?」





「可愛い」





「あー、りっちゃんのカバンにいるやつ」





私も、なんて名前のキャラクターなのか知らない。





だけど、可愛いから好き。




「うん!そう!」




あまり売っているのを見たことがないから、珍しいなってこんなとこにあるのかって思った。




「やってみるか」




「え?」




私がりっくんを見た頃には、お金を投入していた。




「どれがいいー?」




「オレンジの、くすぶってるやつ」




くすぶるって、と笑いながら、あれね、と指をさして真剣な目になる。





「おっとー?おー?」




機械に向かって話しかけている。




「あー取れた!!」




「え、すごい!」





一発で、それが落ちて、私の手元に来た。




「かわいー!」




2個目だ、カバンにつけなきゃとそれを見ていたら、なぜか二回目を始めていた。





「おー、今度は緑取れた!」



「凄くない?ヤバくない?」





「俺クレーンマスターになろうかな」





アホか、と笑い飛ばしていたら、緑も私の手に収まる。




「緑、1番可愛くない?」




「眠そう」




そう言って笑って、私はりっくんの手を取った。




そこに、オレンジの私が1番可愛いと思うものを乗せる。





「あげる。りっくんがくれたやつだけど」




お揃いね、と笑ってみせた。




少しびっくりしたりっくんはすぐに笑顔に戻る。




「ありがとう!俺もカバンつけるわ」





そうして、と笑って、大事にカバンにしまった。




緊張した。だけど、成功してよかった。お揃い、うれしいなぁ。




「じゃ、三階行くかー」





りっくんの号令に従って、後ろをついて行く。