「りっちゃん、寝た?」





「寝てない。寝てたのはりっくん」




「結末教えてくんない?」








映画の半分以上を睡眠に使ったりっくんは、少し残念そう。






「…ごめんね。つまんなかったね」




だから、きっと、寝ちゃったんだね。




私が、あれを選んだから。





「いーや。俺が昨日眠れなかったから」



へへっと笑って嘘っぽいことを言う。




「ふーん」





「じゃ、ラーメン行くよ!」





何も気にしていなさそうな笑顔を見たら、どうでもよくなってしまいそう。





そう言えば、もうお昼か、と携帯を覗いて思った。






「ちょっと歩くけど」




そう言って、また、当たり前のように私の手を引く。





「えっ…」





まだ、そう言うのには慣れないよ。





きっと顔が赤いから、りっくんの隣には並べない。




少し遠くを歩く背中を見つめて、好きだなぁって幸せだなぁって思った。




ずっとこのまま、私には気づかないで少し前を歩いてくれればいいのに。




「ねぇ、りっちゃん」




「…うん?」





「…いーや、また後で」







「わけわかんな」




見覚えのあるラーメン屋に着くと、そこは空いていてすぐに座ることができた。





「味噌ラーメン2つ」






「…へへっ」





夢と同じ。勝手に2つ頼んじゃうの。





「何笑ってんだよー」




私を突いてニコニコしている。





「いーや、なんでも」





だから、私も楽しくなっちゃった。





すぐに届いたラーメンから、りっくんはメンマを全て抜いて私のところに入れた。





これも、夢と同じ。




あと、食べたことある味。




何だか、懐かしい。