2人に散々茶化されながら、お風呂に入って、ドライヤーを奪い合いながら髪を乾かした。





暑いのも、走り回るのも、20キロタンクを持つのも、ご飯完食も辛いけど、結構ここは楽しい。




「楓先輩、コンビニ、行きますか?」





部屋に戻りながら、あやのちゃんがそう言った。





「どうするー?ちょっとめんどい」




「ですよねー、りっちゃん後輩は?」





後輩、いちいち律儀だな、と心の中で笑った。





「りっちゃん後輩も別に用ないかな」




後輩の言葉に笑われた。自分から言いだしたのに。



「あとで自販でお茶買おうねー」




「ですね、喉乾いた」




あやのちゃんは、スプライトがあるから大丈夫だ。むしろ早く一本飲み切ってもらわないと私たちのお茶が冷蔵庫に入らない。





「帰ったらお菓子パーティしましょうね!」





「見ててあげる」




わたしの飲食シーン楽しいですか?と疑問を投げかけるあやのちゃんに、2人で笑った。





「わー涼しい!冷房かけてきて正解!」




私たちは、電気を豪遊して冷房をかけたままお風呂に来た。



涼しい。外とは大違いだ。





そのあとは3人でゴロゴロして、たまにあやのちゃんのお菓子を摘んだ。








「りっちゃーん!いるー?」




10時をすぎた頃に聞こえて来た声。



「旦那!」




「ちゃうって」




笑いながら、ドアをちょこっと開けた。





やっぱり、りっくんが階段の下にいた。




「何?」





「コンビニ!行こ!!」




財布を私に突き出してくる。





「えー、」





りっくんと一緒にいたいという気持ちはもちろんある。




だけど、茶化されるのも暑い外に出るのも乗り気ではない。




「りっちゃん!りんごジュース買って来て!」




「あ、私コーラ!スプライト飽きた!」





「あとアイス食べたい!」






「…え?」





「よろしく〜」







「りんごジュースとコーラとアイスですね」





「私バニラ!」




「んー、ストロベリー」




「メーカーは?」




「なんでも!」






りっくんと一緒にしてくれているのだろうか。それとも、ただのわがままだろうか。




2人はそれっきり携帯をいじり始めた。





前者ということにしておこう。そっちのが気分がいい。





財布を持って、外に出て階段を駆け下りる。