「…りっくん?」




初めて、聞く名前だ。



「え?」




「…え?」



お互い顔を見合わせて、また笑う。




「りっくんって、今昼飯買いに行ってるあいつ!てか遅くない!?どこまで買いに行ってんの!?チビのくせに!」



「チビでどーも」




粟原さんにコンビニ弁当を渡しながら、橋森くんは睨みつけていた。



「ひぃ!怖いねぇ」




私に向かって笑うから、私も笑う。




「なんの話ししてたの?」



窓枠に腰かけた橋森くんは、ビリビリと袋を破く。




「女子トーク!」



粟原さんがそう答えた。




「へぇ、じゃあ、俺は邪魔かな?」



私を見てくれたのに、答えたのはやっぱり粟原さんだった。



「邪魔!しっしっ!」




割り箸を割りながら橋森くんを除け者にした。




「じゃあ、女子トーク終わったら呼んで」



携帯と弁当を持って橋森くんはいなくなってしまった。





少し名残惜しいけれど、今日は粟原さんの日だから仕方ないと割り切った。