恥ずかしくて、橋森くんの胸に寄りかかる。




「ねぇ、りっちゃん」



静かな声なのに、私たちしかいないからよく響いた。





なに、と返事をする代わりに、身じろぎをした。




「お母さんに暴力振られた?」




ずっと撫でながら、何事もなかったかのように聞く。


「え、…なんで」





「おでこ、赤くなってる」



前髪を上げて、前髪との境を触った。





「…バレちゃった」




へへっと、自称気味に笑う。



撫でてくれて嬉しかったから、もう笑い事だよ。





「こんな赤くして、痛かったね」




髪の上からじゃなくて、直接のそこを触ってくれた。



「…痛かった」




掠れそうに言ったら、うん、と頷いてくれた。




「ねぇ、」




「うん?」




「やっぱ、外行きたい」



今更なんだ、と思われるかもしれないけど。





「うん、行こうか」




快く引き受けてくれて、立つように私を促した。




今日はちゃんと立てたから、隣に歩いて行きたい。



少し手を泳がした橋森くんは、そのままポケットに手を突っ込んだ。




何をしているんだろう、と首を傾げても答えは出てこなかった。




私の半歩前を歩いていくから、ちょっと小走りにそれについていった。