こんな私が、恋したみたいです。

ねぇ、私の涙はいつ止まるの?




こんなに泣く女はめんどくさいって思われそうだから、早く止まってほしい。




枯れてもいいから。




だったら離れればいいって、わかってる。





でも、それが出来ないんだ。




「ねぇ、りっちゃん」





ほら、嫌気がさしたのかもしれない。




「なに」




「昨日みたいに、散歩しようよ」




私を引き剥がして、俯く私を覗き込んでいう。




「…何で?」





聞くのは怖いけど、嫌なら嫌って言ってほしい。




そしたら、ごめんねって言って、何食わぬ顔をして、





漫画と充電器を返せる。



「気分転換」





橋森くんの顔は見えないけど、きっと、めんどくさいって、何なんだお前とでも言いたげな顔をしているに違いない。





「…行ってくれば」




そうやって、微妙に突き放すのは1番嫌だ。





わがままかもしれないけど、一緒にいるならずっと一緒にいたいし、嫌ならとことん突き放してほしい。





中途半端なのが1番嫌だよ。




「え?りっちゃんと行きたいのに」




嫌がってるくせに、いちいちドキドキさせる言葉をかけてくれて、嬉しくて、また涙が溢れる。




嗚咽を我慢して、これ以上涙が溢れないように唇をかんだ。





「りっちゃんが乗り気じゃないならいいや」




ちょっと、怒ったかもしれない。





ひどい言葉をかけたのは私なのに、橋森くんはずっと優しいのに、それぐらいでひどく傷つく。





「でも、りっちゃん」




私を支えていてくれた手を両腕から片腕に変える。




余った手で、私の顎を持って顔を上げさせられた。





「唇、それ以上噛んだら怒るよ?」




顎から手を外して、私の口元を覆った。




大きくて、あったかい手で包まれているようだ。