こんな私が、恋したみたいです。

「…まだかなぁ」



あたりが暗くなって来たことは、なんとなくわかった。





橋森くんがくるのも、もうすぐだと思う。





「りっちゃん!!」





ガンっと、ママみたいな大きな音を立ててとびらがあいた。




橋森くんだと頭ではわかったし、今すぐにでも飛びつきに行きたかった。




だけど、泣いてる顔はブスだとか、口から血を出しているなんて汚いとか。





今更何言っているんだって言うような事が、頭を駆け巡って動けない。



「りっちゃん?寝てる?」





「…寝てない」




早く、橋森くんに会いたい。




でも、会いたくない。




「今日はそういう気分なの?」




ちょっと笑いを含んでいた。




「そう、かもね」




違うよ。1人は寂しいよ。




分かれよバカ、なんて無理強いにも程があると分かってる。





「…泣いてる?」





ガサッと、布団の音がする。



出したのは、私じゃない。




橋森くん、すぐここにいる?




「…別に」





そんなの、肯定したようなものだ。




「そっか」




また、ガサッと音がしたと思ったら、布団越しに、頭を撫でてくれている事がわかった。






胸が、ドキッと高鳴る。




あぁやっぱり、好きなのかもしれない。





ちょっと嬉しくなって、でも同時に悲しくなった。




橋森くんはいつも、私の感情をどうにかさてしまうから。





ままのことがフラッシュバックして、その暖かさに触れたくなって。





ガバッと布団を剥ぎ取って、やっぱりすぐ近くにいた橋森くんので胸に飛び込んでしまった。