こんな私が、恋したみたいです。

バタンと、病院らしからぬ大きい音がして、とびらがしまった。


その瞬間に、携帯を手にとって、橋森くんに終わったよ、とラインをした。




返事は授業が終わらないとこないから、きっとまだだ。




何も考えたくなくて、まだちょっと怖くて、布団に潜って体を丸めた。




ママに怒られるなんて、大したことじゃないのに、こんなに怖いのはなんで?



引っ張られたおでこが痛い。




夏なのに、昨日はあんなに暑かったのに、布団の中にいるのに、今はこんなに震えている。




握りしめていた携帯が、震えた。




きっと、橋森くんだ。





『帰ってくるなよクソガキ』





期待は裏切られて、ママからの、親とは思えない言葉だった。




「…ははっ」




泣けてくる。同時に、笑えてくる。



帰れないなら、どこに行けばいいんだろう。




ホームレス?それこそ、学校どころじゃないや。




「早く来てよばかぁ」




小さくそう言ったって、誰も言葉を拾ってくれないことぐらいは分かっている。