こんな私が、恋したみたいです。

話すことも特になくて、ただ、たまに来る風にあたっていた。




亀みたいなスピードで、たまに私を背負い直して、のんびりふらふら歩いている橋森くんの横顔を、ずっと眺めていたんだ。





なんだか、とっても不思議な気持ち。




だいぶ仲良しにはなれたと思うけど、それでもやっぱり私からしたら知らない人で。




どうしてこんなに仲良くなれたのかも、身を預けられるのかもわからない。




でも、それでもいっか、と思ってしまう。




何かしら彼にいじめられていたと知っていても、なぜか、こうやって信用してしまうわけで。




意味、わかんない。




自分の感情が、わからない。




だらんと、橋森くんの肩にうなだれる。




私を見てすこし笑った橋森くんは、また私を背負い直して、のんびりと歩く。





多分、もうすぐ病院前に着くのだろう。
そんなことを思いながら、橋森くんに顔を埋めていた。






「ねぇ、りっちゃん」




遠くからそんな声が聞こえて来たけど、返事をしようにも口を動かせなかった。





まぁ、いっか、あとで謝ろう。




橋森くんだから許してくれるって、呑気に考えていた。