こんな私が、恋したみたいです。

「あっつー」



空調完璧の中に1ヶ月も居たんだから、よく考えるとすごいと思う。




「今日は涼しい方だよ」




「まじで!?」




こんなに暑いのに、これよりもすごい夏が来るかと思うと、げんなりしてしまう。




「まじまじ。夏はこれから」




私を背負い直して、ケラケラと笑った。




「どっち行きたい?」



右と左を交互に見ながら、橋森くんは言う。




「橋森くんセレクト」





適当なことを言って、橋森くんの服に顔を埋めた。





なんでだか、とっても落ち着く匂い。




「じゃあ俺右利きだから右で」



右側に向かって歩き始めた。






「外の空気はどうですか?」




ちょっと私の方を向いて、のんびり歩きながら聞いてくれる。




「美味しいけど、思ったより湿ってました」




ふざけて言うと、笑いながら前を見た。




「うまいんならよし」





ケラケラ笑っていたら、もう、入口の前に戻ってきてしまった。




「思ったより早かったな」




「ねー、」




ほんとに、いつの間にって感じ。




もうすこし、外にいたかった。






「もう一周しとく?」




橋森くんは、エスパーみたいに私の思ってることを当てて来るよね。




「しとこ!」




「じゃあ次は左回り」




きた道を戻って行くように、だけどさっきよりもっとゆっくり歩いてくれた。