こんな私が、恋したみたいです。





「りーっちゃん!」





扉がちょこっと開いて、橋森くんが顔を出した。




「来た!!」




やっと、来てくれた。待ちくたびれたよ。





「そんなはしゃがなくても」



笑いながら橋森くんは言う。




そんなにはしゃいでたかな、恥ずかしいかも。





「はい、気に入ったら続きも持ってくる」




どかっと音がして、目の前の机に紙袋が置かれた。




気に入ってくれる自信はない!と自慢げに言われてしまった。




「何それー、どんな内容?」




重たい思いさせて、すぐに持って帰らせるなんて出来ないけど。





「それは読んでからのお楽しみ」




そうなのか、と、紙袋に手を伸ばした。




「はいダメー!!」


だけどそれは、間一髪の差で奪われてしまう。





「えー、何で?」




「今は漫画読まなくても、俺がいるでしょ?」






ドキン、と胸が高鳴った。




「あ、そ、そうだね!」




何だろう、これは。






「うん、今日はねー、」




そのまま、橋森くんは学校の話を始めた。




でも、内容はほとんど入ってこなくて、胸の高鳴りが抑えきれなくて、そっちばかりに集中してしまう。





「りっちゃん、おーい?」




「え、あ、何?」



「携帯、鳴ってるよ」




話を終えたのかすらわからない。だけど、私の携帯が電話が来たことを知らせていた。




「あ、本当だ」



ちょっとごめん、と言ったら、橋森くんは自分のことは気にするなとでも言いたげに携帯をいじり始めた。





「もしもし」




相手、誰だか見るの忘れたや。




《律ー?久しぶりねぇ》





「あ、ママ」




《律、ママね、明日そっちに行くから!!》




「…え?」





ルンルンな声で言われてしまう。






《えって何よー!行くからねそれだけ!》





用件だけ伝えて、私が言いたいことは無視で、すぐに切れてしまった。





「お母さん?」




「…明日、来るんだって」





何でだろう。