こんな私が、恋したみたいです。

「…チャリ?」




橋森くんは自転車なの?




自転車姿の男の子は、1人知っている。





夢に何度も出て来る、モザイクの人。




あれは…橋森くん?





言われてみれば、背格好が似てないこともない。




150センチしかない私と、大差ない身長差なだけに、小柄な人だというのはわかる。




橋森くんは…、うん、大きくはないはずた。





「…うそだ」





信じたくない。




だって、あんなに楽しそうな姿を夢で見せられているのに、その橋森くんにいじめられていたなんて、





信じたくない。だから、夢の彼とは別人だ。




「りっちゃーん、お昼ご飯ね」




「え、もうそんな時間?」




川田さんは、ニコッと笑う。




「うん。ちゃんと食べるんだよ!昨日は夜ご飯の前に寝ちゃったんだから!」




「わかった〜」



そんなにお腹は空いてないけど、ちょっとでも食べないと川田さんは持って帰ってくれない。





1人の寂しいご飯は慣れたつもりだったけど、昨日が楽しかったから、やっぱり慣れていないようだ。





早く夜が来て欲しいなんて願ってみた。