こんな私が、恋したみたいです。

りっちゃんの名前は、しっかりと面会欄にあって。




病院内なのに、全速力で病室まで行った。




乱暴すぎるぐらい勢いよくドアを開けてしまう。




「…あれ?」


だけど、一見そこにりっちゃんはいなくて。





「あ、寝てんのか」





近づけば、窓側を向いて眠っていた。





「久しぶり、りっちゃん」




そう言って、起きないようにそっと、その頭を撫でる。





そこで、りっちゃんの手に携帯が握られたままなのを見つけた。




「返信、待っててくれたのかな」





なんて、違うだろうに想像してしまう。




だって、焦りすぎて、返信すら忘れてた。





じゃあ、返さないと。





『今、着いたよ』



そう送ったら、すぐにりっちゃんの携帯が鳴って、画面が明るくなる。





「んんっ…」





その反動で、りっちゃんが起きた。





「おはよう…神多」




「…あっ…おは、よ」





下を向いて、バツが悪そうにそう言う。





「うん。おはよ。よく寝れた?」





「…うん」





「そっか、よかった」




目を擦って、伸びをする。




そんなりっちゃんでさえ、可愛いなあ、なんて。