こんな私が、恋したみたいです。







「ねぇーもっちー」




最近の俺の流行りは授業中にもっちにちょっかいをかけること。




もっちの後ろの席とか、これはもう遊ぶしかない。



「ん?」




「そろそろ無理くなーい?」




だって、あれからもう1ヶ月が過ぎた。



もう、テストも近くて、夏休みももうすぐ。




「無理くない。ここまで来たらもう我慢比べだよ」



「しんどい〜〜〜」



一度も音沙汰がない。




「はいはい」




「ねえもっち〜〜」




後ろからもっちの椅子を揺らしても、何も言われなくなってしまった。



「ううぅー」




これが、世界史の授業なら楽しいのに。



世界史は面白いのに。



数学なんて、さっぱり分かんないし、分かんないから聞かないし、そしたらもっと分かんないし。



「りっちゃんに勉強教わりたいー!!」




「はーい」




もっちももう相手にしてくれないから、仕方なく教科書に向かう。



「わっかんねぇ」




何がしたいのか、さっぱりだよ。




全然分かんないけど、休んでる分、りっちゃんに俺が教えてあげられるようになりたいから教科書と戦ってみていた。








「ひー、しんど」



結局なんも分かんないけど、真面目に授業を受けたと思う。




「うるさかったなぁりっくん」




「ごめんって〜」



そう言いながら、いつも通りりっちゃんから連絡が来てるんじゃないかと期待して携帯を開く。




まぁ、毎日、毎時間、裏切られてるけどね。




どうせ来てないってわかってるけど、見ずにはいられない。