こんな私が、恋したみたいです。

「はぁー」



思わずため息が出る。



壁に手をついて、俯く。




俺のことなんも覚えてないのに、なんで、そこだけ覚えてんだよ。



「おかしいだろ…」



俺だって、あの日は楽しかった。アイス食べてラーメン食べて、勉強してたらりっちゃんいなくなって、気づいたらもっちんちにいて。




すごい忙しかったけど、すごい楽しい日だった。



「りっちゃんも、楽しかったのか」



それなら、よかった。




俺とのこと、覚えててくれてる。




掻きむしった頭を整えて、もう一回、病室に戻った。



「トイレ、混んでましたか?」




「あぁ、結構混んでた」




そう言ったら、そっかぁ、と笑ってくれた。