こんな私が、恋したみたいです。

チャリを漕ぎ始める前に携帯が震えた。




ついたら返信するから、ちょっと待ってね。




そう、心の中で言って、学校に向かう。









「もっち〜!!!」




いつもと同じように、りっちゃんのことを聞かれないように、振舞わなきゃ。




入院してるって、具合悪いって、それだけで十分なんだから。




それ以上のことを聞かれないように、バレないように。




「お前は暑苦しいなぁ」




「いなかったら寂しいくせに?」





無駄に絡みに行く。





『え、来てくれるんですか!?』




ポケットが震えたから、すぐにそれを出す。




行ってもいいかと聞いたら、聞き返されてしまった。




『神多のお母さんがいないならね』




「神多?」




「お前!覗くなよ!!」




返信してる間に、もっちが覗いていたようだ。





「それは謝るけど、なんでそんな仰々しい呼び方してんの?りっちゃんコールは?仲直りしたんじゃないの?」




「うっ…」




『夜まではママいないと思います!』
『待ってますね!』




「しかもなんでりっちゃん敬語なわけ?」




「…そういうごっこ」








『うん。なんか必要なものあったら言ってね』




「おい聞いてんのかよチビ」



「これからでかくなる予定!」




「はい陸くん何があったのか話しましょうね」



よくわかんないシカトに付き合ってやっただろ?と脅された。