こんな私が、恋したみたいです。

電車を降りて、朝辿った道を記憶を頼りに進んでいく。



「りっちゃーん」



さっきと変わってすっかり陽気なりっくん。




だから、私も同じように、元気出さなきゃ。




「ん?」



「約束破るの良くない!」



そう言ってこちらに手を差し出す。



「…ん」



恥ずかしい。自分から繋ぎに行くなんて。



りっくんに聞こえちゃいそうなぐらい、心臓が音を立てる。



何よ、これ。そもそも、なんでこんなことしたがるのかがわかんない。



「体育祭、もーすぐだなー」



「…そ、だね」



「りっちゃん何でるの?」



「…わからん」



ドキドキして、緊張して、まともに話も聞けないなんて。



「俺はねー、騎馬戦!上になっちゃったー」



そんな笑顔でこっちを見ないでよ。



「それ、大丈夫なの?」



なんで、こんなに苦しくなるの?