こんな私が、恋したみたいです。

「…ん?」


ムクッと顔を上げて、目を擦る。



おでこには腕時計の跡が付いていた。



あーもう、ホントに、可愛い。



「おはよ。混んできたから、出よ」



「…んー?」



まだ意識がはっきりしないみたい。これでもかってぐらいに目を擦りまくってる。


暫くしたら、魂が戻ってきたみたいで、



「帰ろっか!」


「うん」


でかいアメフトバックから財布を探り当てた。




「りっちゃん、トイレ大丈夫?」



何を急に、こいつは。



「え、大丈夫」



「電車長いよー?行っときな!」



何を、気にしてくれてるんだろう。



でもりっくんは私のカバンを奪ってトイレに行かせる気満々で。



「あっ、じゃあ…」


とりあえず、行くしかない。多分りっくんは引かないから。