こんな私が、恋したみたいです。

私の頭を、ポンポンと撫でてくれる。



「やだ」



嬉しいくせに、私はその手を跳ね除けた。



嫌だ、涙が止まんない。



こんなところで泣きたくないのに。みんな、見てるのに。



「りっちゃん、1回降りよっか」



気遣ってくれて、優しくしてくれて、



本当は、めっちゃ嬉しいのに、



「降りたきゃ降りればいいじゃん」



私は、なんでこんなに素直じゃないんだろう。



ほら、りっくんが困ってる。



「わかった」



駅に着く直前、りっくんは私の腕を掴む。



「じゃあ、俺が降りたいから、付き合ってよ」



そのまま、ホームに降ろされた。



「…なんで」



りっくんは、そのまま歩き続ける。