「鈴、鈴!」

体中が重くて、瞼を開けているのが面倒なほどの眠気に襲われた。

ピッ、ピッ、と、多くの機械音が聞こえる。
沢山の人の焦りのような会話も聞こえてきた。


「限界……」「もう、手のつけようがない」。会話の端々から伝わってくる諦めを、私はただ自分のことではないような感覚で聞いていた。


体が、冷たい。というか寒い?

だんだんと何も感じなくなっていく。



泣き叫ぶ声も、無機質に私の心臓の動きを伝える機械も、鮮明に耳へと届き始めた時。


ーーーーシャリン。


『ただ、気が向いただけだからな』


素っ気ないような、我が強い。
そんな誰かの声が聞こえた気がした。


額に温度が宿る。

あたたかい。


また眠くなってくる。

不思議な感覚の中、意識を失う最後に私が聞いたのは、ひとつの音。


ーーーーシャリン。


優しくて、けれど美しく鳴り響く綺麗な鈴の音だった。