旬は私を強く抱き締めた。そして、私も旬を強く抱き締め返した。 私は旬を思う気持ちが溢れて、頬に涙が伝った。 「ありがとう、なつこ」 「うん」 旬と視線が絡み合い、お互いが引き付けられるようにキスをした。それはとても甘く、少し苦いキスだった。 通行人から見られるのをお構いなしに、私達は唇を重ね続けた。 それから歩いて私の家まで送ってもらった。家に着くまで、ささいな出来事をたくさん喋って、笑った。 そして、お別れの前に私は1つ聞き忘れていたことがあった。どうして旬があそこにいたのかを。