俺は課外の授業を終えて、一人の女と待ち合わせをしたケーキ屋にやってきた。


その女はもうすでに来ていて、目の前に並んでいるケーキを食べるのを我慢して見つめていた。










「あ、はるかさん」


「さっさと、食えば?」





俺はこの女に聞きたいことがあったから呼び出した。待ち合わせ場所は、この女がずっと行きたかったケーキ屋らしい。








「誰かと食べるから美味しいのに」


「俺、いらない」







そして、この女ーーー桜井真緒は美味しそうにケーキを頬張った。

俺がこの女に会うのは3度目だった。1度目は女教師が婚約指輪をなくした日、2度目は無理矢理呼び出しされて結局タクシー代を返された日、そして今回。








 






「真緒が連絡しても、いつもそっけないのに。今日はどうしたの?」


「あんたのお兄ちゃんについて、聞きたい」