夏休みになって、3年生の課外授業が始まった。

この時期になるとうちのクラスでさえも、皆真面目に授業を受け始めていた。













「はるか~、俺はもう駄目だ」




上田が休み時間になって、俺の横の席で顔を伏せながらそう言った。










「俺に勉強を教えてくれよ。つーか、何でお前が学年トップなんだよ。神様って不公平だな」


「それが、父親との約束だから」







俺が許された自由は、高校を卒業するまでだ。

あの家から離れて、贅沢な独り暮らしを送って、楽しく遊んでいられる自由を引き換えに、




俺は学校を首席で卒業して、父親の会社をゆくゆくは継ぐ約束をしている。 












「お前・・・・なら、本当に行っちまうのか?」


「あぁ」




高校を卒業して、俺の進路は父親のものだ。暫く、“ここ”を離れることになる。

だから、上田達とも・・・・あの女とも会えなくなる。