私は皮を剥いて、適当な大きさに切ったりんごを皿に乗せて、病人がいるとは思えない賑やかな寝室に持ってきた。
「ほら、食べな」
私がりんごの入った皿を斉藤はるかの前に突きだすと、また上田くんが文句を言った。
「俺らのぶんは?りんご2個あっただろ?」
「何言ってるの?これで全部よ」
私は首を傾げた。上田くんからもらったりんごは2個分ここにある。不思議なことに、一人分にもならなかったけど。
「りんごが可哀想だ!あんなに大きく立派に育ったのに、お前のせいでこんな小さな姿に変えられて・・・」
「は?」
「なっちゃん先生、包丁使えないの?」
「猿でももっと器用に剥けます。料理出来ないんですか?」
・・・・ちょっと、何を言ってるのか分からない。
バカにされてる気がするけど、きっと気のせいよね。
