「なーに悩んだ顔してんの?なっちゃん先生♪」


「え、・・・・紀村くん?」








放課後に廊下を歩いていると、紀村ひなが私に声をかけてきた。




今のクラスの担任をもって始めの1週間は、私にわざわざ話しかけてくる人もいないし、嫌がらせをされることもあったが、今ではこうやって話しかけてくる生徒もいる。










「もしかして、今の彼氏と上手くいってないとか?」


「・・・・まぁ、そういうとこね」





紀村くんはとても話しやすくて、勘もいいので、ついつい色々と本音で話してしまう。


私は思いきって、紀村くんに自分一人では解けない問題をぶつけてみた。












「1つ聞きたいんだけど・・・・彼氏がね、彼女に距離を置こうって言うのって、どういうこと?」


「う~ん。考えられるのは・・・・他に好きな人がいて、その人への告白が上手くいけば、今の彼女と別れてその人と付き合いたいとか?要はキープにされてる場合ね。他には、浮気して彼女に後ろめたい気持ちがあって、一緒にいるのが辛いとか?」









・・・・キープ?浮気?

そんなこと、旬がするわけない。旬がとても純粋で、優しくて、責任感のある人だと私は知ってる。






てゆーか、私さっきまで「仕事に集中する」って考えてたのに・・・もう断念しちゃうわけ?このまま旬のことを考え続けたら、頭がパンクしてしまう。