私の体はすっぽりと斉藤はるかに収まってしまった。


心も体も弱った今の私には力なんてほとんどなくて、抵抗してこの腕の中から逃げられるわけがなかった。

















「なんであんた傷ついてんの?」

「・・・」








それは、こっちの台詞よ。

あんたは、どうしてそんなに辛そうな表情で私を見つめるの?

朝の酷いことを平気で言うあんたはどこに行ったわけ?




・・・本当に、気まぐれな奴ね。
















私は教師で、こんな風に生徒に甘えることは決して許されないはずのに・・・、私は斉藤はるかをそっと、抱き締め返してしまった。




その時の私は、斉藤はるかの温もりがとても心地よかった。斉藤はるかは、冷えていく私の心に灯をともしてくれた。

そして、斉藤はるかは私の背中を優しく、とんとんと一定のリズムで叩くので、私はついに涙を堪えきれなくなった。









「・・・・ひっく、っ・・う・・」


「・・・」






ーーーー・・・・斉藤はるかは泣きじゃくる私の呼吸が整うまで、黙って側に居てくれた。