「こんなどしゃ降りなのに傘もささない、変な女がいると思って見てたら、あんただった」


「・・・そっちこそ、なにしてるの?」


「別に・・・ただ、家に一人でいたくなかったんだよ。好きな女のことずっと考えてたくなくて」


「なんか、生意気」





私は斉藤はるかのことを、押し退けた。

私のことは放っておいて欲しかった。こんな惨めな姿の私を知り合いに見られたくなかった。






 


「風邪引く」


「いらないってば!!」




私は傘を持つ斉藤はるかの手を払いのけた。傘はアスファルトの上を転がった。

涙が目から溢れても、今は雨のせいに出来る。私はこれ以上情けない姿を人にさらしたくなかった。






すると、突然斉藤はるかに抱き締められた。