そして、ついでに目に入った耳をガブッと噛んでやった。 「な、何するのよクソガキ!」 「あんたのこと、嫌いじゃない」 まだ始まった恋は、俺のやり方で慎重に進めていく。 だから、さっき俺が言った“好き”はまだ、こういう意味にしておく。 「好きって・・嫌いじゃないっていうくらいの意味ね」 「なんか言った?」 「別に」 甘ったるい気持ちを、いらいらして、跳ね返すよりは、認めてしまえば楽だった。