「じゃあ、よろしく」


「・・・・」








女は舌打ちをして、俺のゴミを奪うように取った。

やっぱり負けず嫌いらしい。そして、潔い。







女はいつの間にか上の階で停まったエレベーターのボタンを押して、クルリとこっちを向いて悔しそうに口を尖らせて言った。















「次は、負けないから」
















ーーーまた、ゴミだしジャンケンあるんだ。
















  

いきなりこれは、反則だと思う。

“可愛い”




そう思って、心が一気に揺れた。






エレベーターに乗り込もうとするその女の手を掴んで再びこっちに視線を向けさせた。











「何?」










思えば出会った瞬間ーーー

俺は一瞬で気持ちを持っていかれた。一目惚れ。









あの甘ったるい感情は、気のせいではなかった。
  

俺はふと高まってしまったこの感情を止めることが出来なかった。








俺はその女を強引に抱き締めて、耳元で、






「好きだ」









そう言った。