「今年もよろしく」
「・・・・」
臆病な私は、なるべく自然にそう言った。斉藤はるかにしても、新年の挨拶の流れで言ったわけで、特に意味を込めて言ったわけではないと思う。
「・・・・くそ」
「え?」
「距離置くなよ」
「・・・・」
斉藤はるかが一歩私に近づく。私はわざとではないが、反射的に一歩下がってしまう。
すると、斉藤はるかはイラッとした表情で私を睨む。
「や、ヤンキー!」
「あ?」
だから・・・・顔が怖いんだって。
「距離が縮まったって思ってもまだ距離はあって、また縮まったって思ってもまだ距離がある」
「・・・・」
「俺が縮めた分、あんたは離れていく」
「・・・・そんなこと、」
「もう止めた」
「え?」
