優しい口調で言っても、相手を拒絶する冷たい言葉には変わりない。それを大好きだった人に言うのは、私も辛かった。涙が流れた。


しかし、このまま逃げてはいけない。












「旬よりも・・・・好きな人が出来たの」












私は自分の意志をはっきりと伝えるために旬の目を真っ直ぐに見てそう言った。すると、旬の目が赤く充血していった。


そして、暫く無言の時間が続いた。私は旬が口を開くのを待ったが、旬は何も言わずに帰っていった。




私は旬の背中を見送ったあと、力が抜けて床に座り込んだ。体がやけに重く感じ、立つ気力も生まれなかった。







それから、どのくらいの時間が経ったのだろうか・・・・斉藤はるかが私の帰りが予定よりも遅いことを心配して下まで降りてきた。