「・・・・ひっく、ぅう、うわーーーーん」 





すると、その女は子供のように泣き出してしまった。俺は頭を抱えた。予想をはるかに上回る反応だった。








「・・・・私は家が貧乏で下に小さい弟と妹が3人もいて・・・・ひっく、お金を稼ぐためにモデルを始めて・・・・うぅ、仕事と家の手伝いと勉強に毎日が忙しくて・・・・ひっく、ひっく、・・・・そんな時に大金持ちな先輩の存在を知って玉の輿を狙おうとしました・・・それで楽に生活したいって・・・・だけど、はるか先輩の持つお金持ちの滲み出る気品にすっかり惚れてしまって、日に日に本気で好きになっていって、・・・・昨日やっと勇気を振り絞ってお話しできて・・・・うぅ、それなのに、それなのに・・・・うぇーーーん」








俺はとりあえずこのモデルが悪い奴ではないことは分かった。しかし、泣き声がうるさくて困る。







「さっきのは・・・・付き合ってもらえればいつか私のことを好きになってもらえるかもって・・・・卑怯なことをしました。ごめんなさい・・・・ひっく、私のこと・・・・嫌いにならないでください。そして、あわよくば・・・・私を好きになってほしいです」


「・・・・ぶっ」




俺は思わず吹き出してしまった。










「あわよくばって・・・・あんた、面白いね」


「わっ、はるかさん笑顔も素敵ですね」


「でも、ごめん。俺好きな人いるから」


「・・・・はい。で、でも!」









それからそのモデルは拳を握り、メラメラとした表情で「諦めませんから」と言った。