私は携帯を取り出した。すると斉藤はるかから【戻って来ないけど大丈夫か?】とラインが来ていた。私はそれに【逃げられずに302号室に行く途中。助けて】と返事を返す時間しかなかった。
「まだ?」
「終わった」
私が今、頼れるのは斉藤はるかだけだ。
狭いエレベーターに入った途端にその男は私を後ろから抱き締めて、私の胸を撫でた。私は気持ちが悪くて反射的に鳥肌がたち、その男の足を自分のかかとで踏みつけた。
「てめぇ、なにすんだよ!」
「きゃっ」
私は無理矢理シャツを引き裂かれた。シャツのボタンが弾けた。その瞬間、目的地の階に着きエレベーターが開いた。私は逃げる最後のチャンスだと思った。
すると、斉藤はるかが階段からかけ上がってきたのか肩で息をして、目の前に現れた。そしてそのままエレベーターに入ってきてその男を勢いよく殴った。
私は斉藤はるかがその男を一方的に何度も殴る様子を黙って見てはいられなかった。私は止めに入り斉藤はるかの腕を引っ張って、走ってホテルを出た。
