しかし、ホテルの中に入るとガッツリと肩をまわされた。その男はニヤリと笑った。まるで逃がさないぞと言っているみたいに。
「さっき何で泣いてたの?」
・・・・ばれてたの?
私はとっさに上手い嘘が思い浮かばなかった。適当に笑って誤魔化すしか出来なかった。
「そういえば、名前なんだっけ?」
「瀬戸・・・・いや、えーと・・・・桜井夏海!」
「普通自分の名前間違える?」
「何のこと?」
どうやら私は疑われているらしい。泣いたことが原因で質問が続き、それに答えていくとぼろがでてきた。
私の肩を抱く力は更に強くなった。これでは逃げられない。
「まぁ、いっか。今日は楽しもう♪」
「その前に、両親に今日は遅くなるって連絡いれなきゃ」
