「なんか・・・・危ないことに巻き込まれてない?」
「まさか」
「分かった、お気に入りの若いホストができ「うるさい、しっしっ」
私は紀村くんを追い払って、ヘアアレンジやメイクを終えて美容院を出た。外は肌寒かった。
今頃、真緒ちゃんは旬に正直に今までのことを話しているだろう。
旬も真緒ちゃんも今回のことでとても傷ついた。
どうか二人が自分のことを責めませんように。そして、更に仲良しな二人になれますように。
私が原因であの二人の関係にヒビが入った。だから、今回のことは私が力になりたかった。
ーーー・・・・
約束の時間、約束の場所。
眉毛があがって、金髪の立った髪の毛の、筋肉質な男がいた。最近の男の子って感じだ。
私は深呼吸をしてその男に近づいた。意外にも恋愛ドラマや漫画が好きな私は、可愛く見えるあざとい女達を自然に学んだ。実践するのは今回が初めてだけど、頑張るしかない。
「わぁ~、やっぱ実物かっこいい♪」
そう言って、両手をほっぺにあてて恥ずかしそうに俯く。心の中で10秒数えた。向こうに妄想させる時間を作った。
「ごめんなさい・・・・思わず、」
それから今にも泣きそうな困り顔で、その男を上目遣いで見つめた。掴みはどうよ?
私はドキドキした。これでもし相手が私を気に入らなかったらここで強制終了だ。ホテルまで連れ込めない。
「いや・・・・え?俺のこと知ってんの?」
「私、・・・・桜井夏海。いとこの真緒とは凄く仲良しで、拓也さんのこと真緒から聞いて今日来たの」
「へー。さすが真緒のいとこ、超可愛いじゃん♪」
「お世辞はいいのに、もうっ」
私はその男の体に肩をトンっとあてた。そして背伸びして、その男の耳元で囁いた。
「真緒をセフレにするの?私じゃダメ?」
それから私は、「なーんてね♪」と悪戯っぽい笑顔を向けた。
