「帰る」

「無理」







俺は帰ろうとする女の背中を後ろから抱きしめた。その女は抵抗せずに、俺の胸の中にいた。


そして、俺はその女の耳元で囁いた。







「俺、もうあんたを全力でおとしにいくから」


「・・・・絶対、おちないから」


「覚悟して?」







俺はさらに力強くその女を抱きしめた。暖かくて、癒される。

そして、しばらく抱きしめた後その女をこちらに向けた。その女の目は、揺れている。



それから、俺はその女にキスをするために自分の顔を近づけていった。



そこで俺は1つの賭けをした。もしも、こいつが目を閉じたら俺は本当にキスをすると。






そして、ーーーーー女の携帯が鳴った。




その女は我に返り慌てて俺から離れて、電話に出ながら急ぎ足で帰っていった。






俺は賭けに勝ったが、もう少しのところで賞品は得られなかった。